地方の中小企業や店舗で、マーケティングや集客のためにGoogleマップ(Googleビジネスプロフィール)やSNS(Instagram、X、LINE公式など)を活用する機会が増えています。
しかし、その裏で深刻なトラブルになっているのが「運用の中心だった担当者の“個人アカウント”でサービスを登録・管理してしまっている」という問題です。
「担当者が退職してしまい、パスワードがわからない」
「パスワードリセットの通知が元社員の個人メールやスマホに行ってしまう」
このような状態に陥ると、アカウントのコントロール権を完全に失い、最悪の場合は二度と更新できなくなってしまいます。今回は、地方中小企業が陥りがちなこの「個人アカウント運用のリスク」と、今すぐ実践すべき具体的な対策を解説します。
現場で実際に起きている「アカウントロック・放置」の恐怖
担当者が個人のGmailやプライベートの電話番号を使って登録していた場合、退職時に以下のようなトラブルが一気に表面化します。
Googleマップの情報が更新できない
営業時間変更や臨時休業、住所変更があっても修正できず、お客様に間違った情報を伝え続けてしまう。
SNSアカウントの二段階認証で詰む
ログインしようとしても、退職した元スタッフのスマホに二段階認証のSMSコードが送信されてしまいログイン不可能に。
企業の「公式」が「放置アカウント」化
問い合わせやコメントが来ても対応できず、ブランドイメージや企業の信用が失墜する。
なりすましや乗っ取りに対応できない
アカウントの所有権を証明する手段がないため、乗っ取りや不適切な投稿をされても企業側で削除申請すら容易にできない。
「後で引き継げば大丈夫」と思っていても、退職後に連絡が取れなくなったり、パスワードを忘れられてしまったりすると手遅れになります。
なぜこのトラブルが起きてしまうのか?
地方中小企業でこの問題が頻発する原因はシンプルです。
「とりあえずやってみて」と担当者任せにする
WebやSNSに詳しい若手社員や担当者に開設から運用までを一任し、会社として管理基準を設けていない。
会社専用のアカウント(メールアドレス)が存在しない
事業用の共通メール(info@company.com や Workspace アカウントなど)がなく、手元にあった担当者の個人Gmailなどを便宜上使わせてしまう。
「所有権」と「運用権限」の区別がついていない
アカウントそのものの「オーナー権限」と、日々の投稿を行う「管理者権限」の違いを把握していない。
今すぐ始めるべき「アカウントの会社資産化」4つの対策
このリスクを回避し、WebツールやSNSを「会社の資産」として安全に運用するためのステップは以下の通りです。
対策①:事業専用の親アカウント(メアド)を必ず用意する
まずは、個人に紐づかない会社管理のメールアドレス(事業用Gmailやドメインメール)を1つ用意します。
すべてのWebサービスやSNSの「オーナー(初期登録者)」はこの会社用アドレスで登録・設定します。
対策②:Googleビジネスプロフィールは「オーナー権限」を会社にする
すでに個人のGoogleアカウントでGoogleビジネスプロフィールを作成してしまっている場合でも、今から権限の移動が可能です。
- 会社用のGoogleアカウントを用意する
- 現在の管理者(個人アカウント)から、会社用アカウントを「メインオーナー」または「管理者」として招待・追加する
- 権限を譲渡して、会社用アカウントを「メインオーナー」に変更する
これで、もし担当者が退職しても会社側で引き続き管理が可能です。
対策③:SNSは二段階認証のやり方と共有アドレスを徹底する
InstagramやX(旧Twitter)、FacebookなどのSNSも、登録アドレスを個人から「会社共有アドレス」に変更します。
また、ログイン時に必要な「二段階認証」の通知先が元担当者の個人スマホに飛ばないよう、社内で共有できる認証アプリや共有用端末での設定に変更しておきましょう。
対策④:アカウント管理表(棚卸しシート)を作成する
会社で利用しているWebサービス・SNS・ポータルサイトなどを一覧にした管理シートを作成しましょう。
- サービス名(例:Googleビジネスプロフィール、Instagram、LINE公式など)
- 登録メールアドレス / ログインID
- 管理責任者(会社用の親アカウント保有者)
- 二段階認証の通知先・設定状況
定期的に棚卸しを行うことで、「知らない間に個人アカウントで増えていた」という事態を防げます。
まとめ:Webツールは「個人のスキル」で運用し、「会社の資産」として管理する
SNSやGoogleマップを積極的に活用できる優秀なスタッフがいること自体は素晴らしいことです。しかし、運用のインフラ(アカウントの所有権)まで個人に依存してしまうと、組織として大きなリスクを抱えることになります。
「うちのアカウント、誰のメールアドレスで登録したっけ…?」と少しでも不安になった方は、今すぐログイン情報と管理者権限の確認を行ってみてください。





